毎日の業務報告書は誰の成果にもつながっていない

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毎日の業務報告書、誰のために書いているんだろう

ある月曜日の朝のチームミーティングで、田辺部長がこう言いました。

「現場メンバーに毎日、業務報告書を書いてもらうことにします」

内容は、その日に行った商談の件数、話した内容、次のアクション、所感。それをフォーマットに沿って毎日提出する、というものでした。

正直、最初から「これ意味あるのかな」と思っていました。でも田辺部長の指示なので書き始めました。毎日30分くらいかけて。

フィードバックは「頑張っていますね」だけ

報告書を書き始めて2週間ほど経ったころ、田辺部長からフィードバックが来ました。

「みなさん頑張っていますね。この調子で続けましょう」

以上です。

具体的な指摘は何もありませんでした。「この商談、こういうアプローチにしたほうがいい」とか「このお客様の課題に対して、提案の切り口を変えてみては」とか、そういう話は一切なかった。

最初は「まだ様子を見ているのかな」と思いました。でも1ヶ月経っても、2ヶ月経っても、フィードバックの内容は変わりませんでした。

「よく動けていますね」「継続していきましょう」

報告書には毎日、商談の詳細を書いています。うまくいかなかった商談の話も書いています。でもそこに対して何かが返ってくることは、ほとんどありませんでした。

なぜ具体的なフィードバックが来ないのか

最初は田辺部長が忙しいのかと思っていました。でも違う理由があると気づいたのは、しばらく経ってからです。

理由はふたつあると思っています。

ひとつは、田辺部長には具体的なフィードバックができないという話です。

田辺部長が営業をやっていたのは10年以上前で、当時は単価が数万円の物を売る営業でした。今のチームがやっているのは、単価が数百万から数千万円のコンサルティング型の営業です。お客様ごとに課題が違うし、提案の中身も変わる。決裁者が誰で、稟議のプロセスがどうなっているかも、お客様によって全然違います。

田辺部長にはその経験がありません。前の部長が定年退職して、社内の人員的な事情で部長になった経緯があります。だから報告書を読んでも、何が問題でどうすれば改善するか、正直わからないんだと思います。

もうひとつは、責任を取りたくないという話です。

「この商談、次回はこういう切り口で話してみてください」と具体的に言ったとします。翌日か翌週には、それが良かったのか悪かったのか、結果として出てきます。もし悪い結果になったら、自分のアドバイスが原因だったことになる。

だから具体的なことを言わない。「頑張っていますね」「継続しましょう」なら、何があっても責任が発生しません。

これ、田辺部長だけじゃないんです。報告書は役員や社長も見ています。でも役員や社長からも、具体的なコメントは来ない。みんな同じ理由で、踏み込んだことを言わないようにしています。

報告書を書いた本当の理由

田辺部長は報告書の導入を役員にこう報告しました。

「現場メンバーの行動管理を強化するため、毎日の業務報告書を導入しました」

役員からの反応は良かったそうです。「田辺部長がちゃんとマネジメントしている」という印象につながったようで、田辺部長の評価が少し上がったという話を聞きました。

つまり報告書の導入は、現場の成果を上げるためじゃなくて、田辺部長が役員に「部長らしいことをしている」とアピールするための施策だったわけです。

役員も「新しい取り組みを始めた」という事実を評価している。報告書を書いたことで売上が上がったのか、上がらなかったなら何が問題でどうすればよかったのか、そういう検証は特にない。

で、3ヶ月後に「売上が上がっていない。改善するように」という漠然とした指摘が来ました。改善策も漠然としていました。「もっとお客様との関係を深めることが重要だ」という話でした。

これを数年間、繰り返しています。

報告書は誰の役に立っているのか

本来、こういう仕組みが機能するためには何が必要か、ちょっと考えてみました。

まず、達成したい成果のKPIがある。それを達成するための行動のKPIがある。その行動KPIが達成できなかったときに、なぜできなかったのかを調べるための材料として、報告書が使われる。

そういう流れであれば、報告書にも意味が出てくるかもしれません。

ただ、正直に言うと、報告書はあくまで本人の主観で書かれるものです。うまくいかなかった商談でも、本人は何が問題だったかわかっていないことが多い。わかっていれば自分で改善できているはずで、わからないからこそKPIが達成できていない。

わからない人が書いた報告書からは、わからない報告しか出てきません。

本当に問題点を把握するためには、わかっている人が現場を直接見るしかない。商談に同席して、どの場面でうまくいかなくなっているのかを一緒に確認する。それ以外に方法はないと思います。

でも田辺部長にはその経験がないし、役員も現場からは遠い。だから誰も現場を見に来ない。代わりに報告書だけが毎日積み上がっていく。

30分×20営業日=10時間

報告書を書くのに毎日30分かかります。月に換算すると約10時間です。

この10時間が、現場の成果改善につながっているかというと、正直そう思えていません。田辺部長の評価を上げることには貢献していると思います。でも僕たちの数字を上げることには、今のところ貢献できていない。

これも、効率化が自分の成果に返ってこない構造の話だと思います。

一生懸命書いた報告書が、「頑張っていますね」で終わる。その繰り返しを見ていると、何のために書いているのかわからなくなってくることがあります。

田辺部長が悪い人だとは思っていません。経験のない領域で部長をやらされていて、それでも部長として何かしようとしている。その結果として、こういう形になっているんだと思います。

ただ、その「何かしようとしている」のコストが、現場に乗っかってきているのは事実です。

誰かを責めたいわけじゃないけど、この構造の中で消えていく時間のことを、最近よく考えます。